おひとりさまの場合、親の介護が最初に回ってくるといわれていますが、いくら親の介護をしても、親の財産は兄弟姉妹で均等に分けられてしまいます。 すぐ前の項目で介護した場合には寄与分が加算されるという説明をしましたが、親子や夫婦間では「しても当然」と思われる範囲での貢献は、寄与分と認められないことが多いようです。 なぜなら、親子や夫婦がお互いに介護したり助け合ったりするのは、本来の役割であるとか義務であると考えられているからです。 そのため世間には次のような事例がいっぱいあるはずです。 昌子さんは3姉妹の三女で、現在、45歳のおひとりさまで、都会で仕事をしながら充実した生活を送っています。 母は早く亡くなり、現在、病弱な父(85歳)が田舎でひとり暮らしをしているが、足腰もだいぶ弱ってきて介護が必要になった。姉二人は父親の住んでいる近くに住んでいるが、三女がおひとりさまであることを理由に、父の介護を押し付けてしまった。 昌子さんはそれまで勤めていた会社を辞め、父が91歳で他界するまで、ひとりで介護の面倒を見てきたが、姉二人はこれまでに1回だって、父を見舞うことさえなかったし、電話の一本もなかった。 さて、父が亡くなると、姉二人は弁護士を立てて遺産分割を要求してきたというものです。 昌子さんは、父の介護をしてきたとして、「寄与分」を家庭裁判所に申し立てしたが認められず、3人の姉妹で均等に分けられることとなった。 仲の良い姉妹なら、お互いに言い分を聞きながら、お互いに納得できる協議分割ができたでしょうが、世間にはこういう仲の悪い姉妹がいくらでもいます。 とくにおひとりさまの場合には、自分の住む家だって確保する必要があるのですから、できれば、こういう結果にならないように、「私の面倒をよくみてくれる昌子には、私の居住している土地と建物を相続させる」など、余分に遺贈する不動産や金額を具体的に書いた遺言書を父親に書いてもらっておくことです。 なお、父親の死後、姉二人が文句をつけてくるのが心配なら、それを公正証書遺言にしておくといいでしょう。 ※公正証書遺言とは、公証役場で公証人に作成してもらう遺言のことです(民法969)。この遺言方法は、最も確実であるといえます。 |
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