婚姻届を出していなかったり、なんらかの事情で出せないカップルの場合、どんなに長く一緒に暮らしていても、相続権は一切ありません。 死亡退職金、遺族年金などの受給では、事実婚の状態にある人には、婚姻届が提出されていなくても権利を認めていることが多いですが、相続の場合では法律は非情です。 こういう事実婚は世間ではよくある話です。 【事例1】 玲子は結婚して42歳のときに、夫が浮気はするし、ギャンブルにも夢中になり、生活費もロクに家に入れなくなったため、やむなく子供を引き取って離婚し、近くのスーパーで働き始めた。 スーパーの支店長の正雄さんはバツイチであったが気立てはよく、仕事のことでも丁寧に教えてくれるし、生活のことでもいろいろと相談に乗ってくれるため、自然に好意を持つようになった。 このような関係が2年続き、いつしか支店長とマンションを共同で購入して生活するようになったが、お互いに子供がいるため、子供が成人するまで入籍は待とうということになった。 ところが、正雄さんが突然、心筋梗塞で亡くなってしまった。 そうすると正雄さんの子供たちが共同で購入したマンションの相続の権利を主張し始めましたが、マンションは正雄さんの名義にしていたのです。 マンション購入の資金を玲子さんが半額出したという証明があれば、その分に関しての権利はあるでしょうが、それがなければ、マンションの相続権は正雄さんの子供になってしまい、すべて相続人のところに行ってしまうのです。 【事例2】 こんなケースもあります。 東京に出て、小さな会社に勤めていたが、お互いに好きになったことと、お互いにおひとりさま状態で家族もすでにいないことと、老後のことも心配する年代でもあったため、気軽な気持ちから彼の所有のマンションで一緒に住むようになった。 しかし、会社での過労がたたり、脳溢血で突然倒れてしまい半身不随となったため、それから5年間も付きっ切りで介護したが、亡くなってしまった。 葬式も済ませ、いざ気を取り直して頑張ろうと思っているところに、見たこともない彼の甥というのが尋ねてきて財産を相続したいと言い出した。 この場合も入籍していないため、全ての財産が甥の相続人に行ってしまったということです。 こんな場合、遺言書がないとどうにも対抗する手段がありません。 |
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