人間の人生の終末期をどう迎えるかということは、人間の尊厳死の問題にもつながる大きな問題であり、だれだって、最期は眠るように静かにあの世に旅立ちたいと考えているのではないでしょうか。 哲学者デカルトは「我思うゆえに我あり」という有名な言葉を残していますが、要は自分の存在を自分が確認できるあいだが、自分が生きている状態だということだと思います。 ですから、チューブでつながれて、植物状態で生きているのは、肉体だけが生きている状態であり、だれだって、こんな状態でいつまでも長生きしたいとは思っていないはずで、やはり死ぬときは、老木が枯れて静かに倒れるように死んで行きたいと願っているのではないでしょうか。 中高年の女性たちが病気の話をすると、たいてい最後に出てくるのがこうした会話です。 自分の意識があるあいだは、自分で願いを周囲の人や医師に伝えることができますが、その前に意識を失ったらどうなるのだろう。 自分の意識がなくなってしまっても、その願いを実現する方法がひとつだけあります。 それが、「リビング・ウィル」といって生前遺言をしておくものです。 死を間近にした人にとって、最後まで痛みのともなうことは耐えられないことです。 そこで、本人の生死に関する希望を伝えることによって、不必要な治療を抑え、安らかに死を迎えようというものです。 それは、自発的な尊厳死を用意する「事前宣言書(リビング・ウィル)」として知られるもので、この書類は、アメリカや英国だけでなく、日本でも会員が増加していると聞いています。 リビング・ウィルをつくるには、二つの方法があります。 ひとつは最寄りの公証役場で「延命治療はせず、苦痛だけ取り除いてほしい」「植物人間になったら生命維持装置を外して欲しい」といった内容の「尊厳死宣言公正証書」をつくる方法。 もうひとつは、尊厳死運動を続けている日本尊厳死協会の会員になって、「尊厳死宣言」にサインする方法です。 |
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